メンバーの育成というと直接品質に影響するスキルに目が行きがちではないでしょうか。しかし、スキルだけ育成しても強いチームは作れない。メンバーの全部に向き合うことの意味と大切さを、失敗談を元に書いてみます。
仕事はできるけど面白くない上司
「確かに仕事はできるのかもしれないけどさ、面白くないよねXXさんと仕事しても」
これは私がマネージャーになりたての頃、人伝てで聞いたプロジェクトメンバーの言葉です。どこまで言葉通りかよく覚えてませんが、私はこのように記憶しました。その後も異口同音で言外に感じる場面は何度かありました。外資EC大手のA社でプロダクトマネージャーをしている時も言われたような。
確かに私は面白いタイプの人間ではないのですが(汗)、これらのフィードバックはそいう意味での面白くないではありません。スキルは身についても、成長している感がない、とか、刺激がない、といった承認欲求や自己実現要求に基づくフィードバックでした。
同じような経験をされたことがある人は多いと思います。実際にリーダー向けの啓蒙書でも、承認することや、ビジョンを示すことなどはよく言われるアドバイスです。ところが分かっていてもなかなか実行できない。承認すると言っても実際にアウトプットが出てないし、チャレンジな仕事がしたいと言うけれど全ての仕事が面白い事ばかりではない、とか思っていました。
要するに私がクライアントや品質に気を配ると同じくらいに、メンバーをきちんと見れていなかった事が原因だと思います。でもきちんと見るってどういう事なのでしょうか。
あたま、からだ、こころ、全てが資本
そんな事を考えていた時にふと浮かんだのが、スキルだけでなく、人の全てに向き合わねばらないと言うことでした。その時にメモしたのがこちら。。読めないですね汗

改めて整理してみるとこういう事を書いてました。
優秀なメンバーが求めるリーダー像は何か、、スキルだけ見ていてもダメ。頭、カラダ、こころ、人の全てと向き合わねばならない。感情、体調を気遣う。誰でも自分と仕事に誇りも持ちたい。ワクワク感や達成感を刺激する、名誉を与える。感情的な報酬が必要。
- あたま:スキル、知識
- からだ:体力、集中力、体調
- こころ:欲求、自信、帰属意識
メンバーと仕事するって人の全てに向き合う事
いわゆる知識労働者はあたま、からだ、こころの全てを資本にして仕事をしています。中でもコンサルタントと呼ばれる特に若手は、あたま、からだ、こころを毎日フル動員していると思います。私もそうでした。常に自分がやった事がない仕事でアウトプットが求められ、時間がかかり睡眠時間や体力を削り、ぎりぎりの状態で何とかやりくりする日々。
今のスキルで足りてしまう仕事はそれはそれで問題。ベストな状態は、ちょっとスキルが足りないくらいの仕事で、体調も万全で好きな仕事をしている時ですよね。仕事をしていて集中力が高まりフロー状態になる場合もこういう時です。
ところがスキルが足りない幅が大きくなると、どうなるか。まず体力が削られていきますよね。そして、こころが削られる危険に晒されます。普段できている判断ができなくなってきたら危険信号です。
このように仕事によって、あたま、からだ、こころの順で削られていき、それに抵抗する事で強くなっていく。個人の実現欲求を満たせば、抵抗力が高まる。しかし、一定限度を超えると壊れてしまう。しかもその程度は一人一人異なるのです。コンサルティングのチームを率いるというのはそういう人、一人一人の全部に向き合うって事なんですよね。
全てに向き合う事で変わった事
そんな認識をもった事で何が変わったか?一つは、同じ場面でも人や、その人の状態によって対応が変わった事でしょうか。
何が働くモチベーションになっているか、体調はどうか、を把握するという事はそれまでも実施していました。しかしそれを仕事で必ずしも生かしてなかったかもしれません。それらがどう影響するかの理解がないためだったからだと思います。からだ、こころをどう使って成果を出しているかを理解すれば、一人一人の状態によって自ずと対応が変わってくるように思います。
もう一つ変わった事は、事業の目的や意義を言葉にしてメッセージすることの重要さを改めて認識した事です。リーダーとしてお手本を示したり、スキルを伝えたり、する事はそれまでも心がけていました。しかし、大きなチーム、優秀なメンバーを率いるためには、人が集まる共通の目的たる事業の目的や社会的な意義がことさら重要になります。
資本の一つの「こころ」と向き合った結果、売上目標でもなく、プロジェクトの成功でもなく、人が帰属しているコミュニティの存在意義に人が集まり共同体として事業がなし得るのだという認識を改めて持ちました。
私がコンサルタントとして接してきた組織では、事業や組織の目的が明確でない事が少なくありませんでした。メンバーが自発的に動かない、サイロ化してしまう、などの症状はその原因に共同体としての目的がないことがあるかもしれません。
最後に〜モチベーションは上げられるのか?
リーダーとして一度は悩むのがメンバーのモチベーションをどうあげるか、という点だと思います。私も悩みました。その結果、行き着いた考えは、モチベーションは本人次第で上げられないということです。さらに言えば、メンバーのモチベーションをあげることがリーダーの仕事ではないということです。
リーダーがすべき事は、事業の目的を示し、クライアントに価値を提供するために必要なバーを設定すること、そして、一人一人の全てに向き合ってそれを伝え、サポートしていく事。それしか出来る事はないんですよね。その結果、モチベーションが上がるかどうかは本人次第です。そう考えた方がお互いに健全で良い関係が築けると思います。



コメント